
ビルメンの『独立系』と『系列系』っていったいなに?
ビルメンという職種を調べると出てくるキーワードに『独立系』と『系列系』があります。
この二つの言葉を聞いてなんだそれ?と思われた方は多いのではないでしょうか。
実際僕もビルメンの仕事を始めて数年間、こんな言葉があることすら知りませんでした。
ではその二つにはどんな違いがあるのでしょう?
結論から言うと
- 独立系とは親会社を持たない独立したビルメン会社
- 系列系とは主に大手企業が親会社になっているビルメン会社
ということになります。
ただビルメンという職種をあまり知らない方は、こんな説明されてもピンと来ないですよね。



なんかよくわからないな…
こんなことを思いビルメンの仕事を適当に選ぶ人もいるかもしれません。
しかし、ビルメンに転職を考えている人にとって『独立系』『系列系』どちらを選ぶかというのはとても重要な選択になります。
なぜなら、待遇や仕事内容、福利厚生や給料まで『独立系』と『系列系』にはかなりの違いがあるからです。
ビルメンに何を求めているかは人それぞれですが、せっかく就職した先が自分の思っていた待遇と違うのは困りますよね。
そして『独立系』と『系列系』にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
ということで今回は、ビルメンの『独立系』と『系列系』のメリットとデメリットを中心に詳しく説明していきたいと思います。
- 『独立系』と『系列系』のメリット、デメリット
- どちらが自分に合っている仕事なのか。
- 楽したいなら、稼ぎたいならどっち?
- 『独立系』と『系列系』の判断方法は?
独立系と系列系はどっちがいい?


あなたがビルメンを転職の候補先に選ぶ理由はなんでしょう?
もしその理由が



ビルメンは楽な仕事って聞いたから
という理由だったら迷わず『独立系』を選んでください。
なぜなら、ネットを中心に言われている『ビルメンは楽な仕事』というのは、主にこの独立系ビルメンを指すことがほとんどだからです。
僕は独立系ビルメンの仕事をしていますが、一般の仕事よりかなり楽だと思います。
▼独立系ビルメンの仕事内容【休日】▼


そしてもし、楽じゃなくてもいいからお金を稼ぎたいというなら『系列系』を選びましょう。
しかし、そもそもの話になりますが、ビルメン業界全体の年収は平均以下です。ですのでお金を人より稼ぎたいというならビルメンはあまり向いていないということは覚えておきましょう。
それでも『自分はビルメンで稼ぎたい』と言う人は系列系を選ぶことをおすすめします。
- 楽をしたいなら独立系
- お金を稼ぎたいなら系列系
独立系ビルメン会社とは


独立系ビルメン会社とは、親会社を持たずビル管理を行っている会社のことです。
系列系は親会社が所持しているビルを管理するのに対し、独立系ビルメン会社は所持しているビルがないため、入札や営業で獲得した他社のビルを管理しています。
たとえばどのような施設を管理しているかというと、病院や、市役所などの公共施設です。



公共施設に親会社はありません。
ですので施設管理は独立系ビルメンに委託されます。
独立系ビルメン会社にも大手企業はありますが、そのほとんどは中小企業になります。
系列系がマネジメントや業者との立ち合いが多いのに対し、独立系は修繕や現場対応が多くなる傾向にあります。
独立系ビルメンのメリット


ここからは独立系ビルメンのメリットをいくつか紹介していきます。
仕事内容が楽
独立系の最大のメリットは仕事内容が楽なことです。
極端な例をあげると、一日の仕事が定時の点検業務だけという会社も存在します。



点検だけって暇じゃない?
はい、このように仕事が少ない場合は待機時間という名の休憩時間が多くなり、時間を持て余します。
待機時間を使って資格の勉強などをしている方もいますし、なかにはひたすらスマホでゲームをしているような人もいます。
ネット界隈でビルメンが楽と言われている理由は、この独立系ビルメンの一部を指してのことになります。
しかし、もちろん独立系ビルメン会社のすべてがこのように楽なところばかりではありませんので注意しましょう。
未経験でも入社が簡単
独立系ビルメン会社は未経験でも入社が簡単です。
なぜなら独立系ビルメンは基本的に人材不足だからです。
僕も独立系ビルメンに資格ゼロ、経験ゼロ、ビルメンが何をするかもわからない状態で面接を受けましたが、面接の段階で採用することが決まっていました。
独立系ビルメン会社の一部は



とりあえず入社させてから考えよう!
というところもあります。
ですので、とりあえずビルメンという仕事を経験してみたいという人には、独立系ビルメンをおすすめします。
入社することは簡単ですしね。
残業がない
独立系ビルメンは残業がほぼありません。
なぜなら、そもそも残業してまでやるような仕事がないからです。
たとえば、一日の仕事が定時点検しかないような日に残業してもしょうがないですしね。むしろ邪魔扱いされるかもしれません。
とはいえ、設備機械にトラブルがあった日、突然入ってしまった仕事があるような場合はもちろん残業はあります。
僕の会社でもたまに、そのような場合がありますが本当に稀です。



残業なんて絶対したくないよ!
というような人は独立系ビルメンがいいかもしれません。
独立系ビルメンのデメリット


ここからは独立系ビルメンのデメリットです。
給料が安い
独立系ビルメンの一番のデメリットは給料が安いことです。
年収としては250万円~400万円。系列系が350万円~500万円なので、だいたい100万円の差がありますね。



…安すぎない?
なぜ独立系ビルメンは給料が安いのか?
それは管理する現場の獲得方法が入札や営業によるものだからです。
管理してもらう側としては安い方がいいので、どうしても価格競争になってしまいます。
そして安い金額で現場を獲得するので、働く社員の給料も安くならざるを得ないのです。
なので独立系ビルメンの給料が安いのはしょうがないことなのかもしれませんが、まあ安いですね…。
年間休日数が少ない
独立系ビルメンは年間休日が少ない傾向にあります。
その年間休日数は105日~115日ほど。系列系が120日以上に対してかなり低いですね。



ちなみに年間休日数が105日以下の会社は、法定労働時間を超えている可能性があるので気を付けましょう。
年間休日数は多ければ多いほどいいような気がしますが、年間休日数が130日以上の場合は注意が必要です。
130日以上の年間休日数は宿直の明け休みも含まれている可能性があるからです。
実際の年間休日数は105日以下のブラック会社。ということになりかねないので、ビルメン会社を選ぶ際は年間休日数を必ずチェックしましょう。
解雇される可能性がある
独立系ビルメンは解雇される恐れがあります。
なぜなら独立系ビルメンの現場は入札や営業で獲得してきたもので、自社が所有している現場ではないからです。
たとえば、現在自分が勤めている現場が



来年度の契約をとれませんでした!
なんて場合は最悪解雇の恐れがあります。
僕の会社にも実際、他の独立系ビルメン会社の現場がなくなり解雇された経験のある人がいました。
正社員ならすぐに解雇ということはないかもしれませんが、契約社員などの非正規雇用なら問答無用で切られる可能性があります。
なので、独立系ビルメンは非正規雇用が多いです。
独立系ビルメンで長く勤めたい人は、解雇される可能性が少ない正社員での募集を探すのがいいですね。
独立系ビルメンのメリット・デメリットまとめ
- 仕事内容が楽
- 未経験でも入社が簡単
- 残業がない
- 給料が少ない
- 年間休日数が少ない
- 解雇される可能性がある
系列系ビルメン会社とは


系列系とは主に大手企業を親会社に持つビルメン会社のことです。
大手企業とは大型商業施設、不動産関係、鉄道関係、通信会社関係などがそれにあたります。
では実際どんな会社があるのでしょう。
- JR東日本ビルテック
- イオンディライト(イオングループ)
- 三井不動産ビルマネジメント(三井不動産グループ)
- 三菱電機ビルテクノサービス(三菱電機グループ)
- 東急コミュニティー(東急グループ)
- NTTファシリティーズ
上記にあげた会社はビルメン業界でも超がつく大手企業です。
JRやイオンなど、誰しもが聞いたことがある名前がついているのでわかりやすいですよね。
系列系ビルメン会社の見分け方
このように『大手企業の名前+ビル~』『大手企業の名前+ファシリティーズ』のように複合した名前がついていると系列系のビルメンである可能性が高いです。
たとえばJR東日本ビルテックやNTTファシリティーズもそうですね。



ちなみにファシリティー(facility)とは設備、施設という意味を持っています。
『設備管理』という意味でビルメン会社に多く使用されています。
ただし『ファシリティーズという名前が入っているからビルメン会社だ!』というわけではないので注意が必要です。
系列系ビルメンは実際その会社名を検索すると、協力会社に大手企業がある場合がありますのでそれを参考にしましょう。
系列系ビルメンのメリット


ここからは系列系ビルメンのメリットを紹介します。
給料が高い
系列系ビルメンのメリットで一番最初にあげられるのは給料が高いということです。
年収でいうと、平社員で350~500万円。



…安くない?
こう思われる方もいるかと思います。
というのも、系列系の給料が高いと言われているのはあくまで独立系と比べてです。
なぜならビルメン業界自体の平均年収が日本人の平均年収より低いからです。
しかし、系列系ビルメンは定期的な昇給もありますし、管理職になれば600万~1000万を狙うことも可能です。
ボーナスが5か月分出るような会社も珍しくありません。
独立系から系列系に転職したことで年収が100万近く変わったという話しもあるので、やはりビルメンでお金を稼ぎたいなら系列系を狙うのが一番ですね。
ということで系列系の一番のメリットは給料が高いということにあります。
福利厚生がしっかりしている
系列系ビルメン会社は福利厚生もしっかりしています。
なぜなら大手企業が親会社ということで、その企業に沿って規定が統一されていたり、それに習った福利厚生になっているからです。
たとえば下記のようなものがあります。
- 退職金がしっかりもらえる
- 資格手当もしっかりもらえる
- 有給休暇もしっかりとれる
- グループ会社を社員割引で使える(ホテル、レジャー施設等)
- 福利厚生施設、社宅・独身寮などがある
グループ会社の社員割引が使える、福利厚生施設がある、などは大手企業ならではですね。
ということで、系列系のメリットは福利厚生がしっかりしているところにあります。
安定している
系列系のメリット3つ目は安定しているということです。
なぜなら親会社である大手企業が設備管理の必要な建物を、所有していればいるほどビルメンの仕事はあるからです。
たとえばイオングループだと、イオンの商業施設は全国どこにでもありますし、今でもその数は増え続けています。
その増え続けていくイオンと同じだけ、ビルメンが必要な建物も増えていくわけですね。



でも親会社の経営が傾いたら危ないんじゃ…
はい、これはどの会社にも言えることですがもちろん絶対安心安定とは言えません。
しかし、独立系ビルメン会社は契約が取れないと仕事がなくなるのに対し、契約系ビルメン会社は親会社が所有している建物があるだけで仕事がなくなる可能性は低くなります。
JRやNTTをたとえにあげると分かりやすいですよね。JRやNTTがつぶれるようなことは考えづらいです。
ということで、系列系ビルメンは比較的安定しているということなります。
年間休日が多い
系列系ビルメンは独立系に比べて休日が多いことがよくあります。
具体的には独立系は年間休日数が105日程度に対し、系列系は120日を超える場合が多いです。



ちなみに日本の年間休日数は平均120日。
系列系は平均的な年間休日数ということになります。
そしてビルメンには宿直勤務があります。朝から翌朝まで勤務するという形態ですね。
その場合明け休みというものが存在するので、体感の休日はさらに多く感じます。
宿直勤務のみの場合は、出勤日数が月に10日程度しかないというのも珍しくありません。
系列系は年間休日が多いということがメリットになります。
系列系ビルメンのデメリット


ここからは系列系ビルメンのデメリットについて紹介します。
仕事内容が激務
系列系のデメリット一つ目は仕事内容が激務な傾向にあります。
これは任された現場によってかなり左右されますが、系列系は独立系と比較して仕事が大変です。
なぜなら親会社があることによって、求められる仕事内容もレベルが高くなるからです。
たとえば点検や修繕だけでなくマネジメントの仕事も任されたりします。
他にも親会社との担当と会議、テナントとの会議等、コミュニケーション能力が必要な場面も多々あるので人との関わりが苦手な人は大変でしょう。
第一に挙げる系列系のデメリットは仕事が激務だということです。
転職するハードルが高い
系列系は転職するハードルが高いです。
というのも、中途採用では未経験、資格無しでは基本的に採用されません。
たとえばどんな資格が必要かというと、ビルメン4点セットやビルメン3種の神器といわれている資格です。
特に大手企業の系列系ビルメン会社は資格無しだと見向きもされないようです。
ですので中途採用はいくつか資格がないと系列系に転職するのは難しいかもしれません。



じゃあ、どうすれば系列系に転職できるの?
多くの場合は独立系で経験を積み、資格を取得してから系列系に移るという流れが多いようです。
職業訓練校で資格を取得し、未経験で系列系に転職したという話しも聞いたことがありますが、これは稀なケースとのこと。
まずは独立系で経験と資格を手に入れるて系列系に転職するのが近道になります。
系列系ビルメンのメリット・デメリットまとめ
- 給料が高い
- 福利厚生がしっかりしている
- 安定している
- 年間休日数が多い
- 仕事内容が激務
- 転職するハードルが高い
おわりに


今回は独立系ビルメンと系列系ビルメンの違い、メリット・デメリットを紹介しました。
どちらが自分に合っているかは人それぞれになってしまいますが、



とにかく楽な仕事がしたいよ!
というなら独立系がおすすめ。



とにかくお金を稼ぎたい!
というなら系列系をおすすめします。
独立系と系列系は同じビルメン会社でもかなりの差があります。
自分に合っていると思うほうを充分考えて転職するようにしましょう。
この記事がビルメンに転職を考えている人の助けになれば幸いです。
ではここまでお読みいただきありがとうございました!
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